発行に当たって

不幸にして病気にかかり、診察を求めて病院の門をくぐるときから、病人はもとより付き添う家族も心に抱える不安は大きいものです。

まして、病気が不治の病である「がん」とわかったときの精神的打撃はいかほどばかりか、計り知れないほど深く大きいでしょう。

こうした患者さんやその家族の心をケアし、支え、残された一日一日を大切に生きる手助けをするガイドブックや相談活動は、残念ながら今の日本にはありません。

アメリカでは国立のがん研究所が、患者さんに向けにたくさんのパンフレットを作り、無料で希望者に配布し、多くの人々に利用されています。

幸い著作権も開放されていて、世界中どこでも翻訳してこれを利用することができるようになっています。

そこで、このブログでは「進行がん療養の手引き」の翻訳文を発行し、多くの人に少しでも役立てていただければと心から願っています。

周囲の人々

多くの人にとって、家族や親しい友人が、最も重要な心の支えです。
ある男性は、次のように言いました。


『妻と、私を愛してくれる友人たちは、まるで一つの輪のようです。
私の周りで、私を守る盾となってくれているのです。
もし皆がいなければ、私はどうしていいか分かりません。』


あなたの周りにいる親しい人々も、あなたと同じくらい人に理解してもらう必要があるのです。

皆は、どんなふうに感じ、何ができ、何ができないか、考えてみることが役に立つでしょう。

あなたの愛する人たちは、あなたの病気を受け入れ、自分の混乱した気持ち、ショック、絶望感、あるいは怒りなどを整理するのに、あなたと同じように時間が必要なのかもしれません。

家族や友人に、側近くにいてほしいとあなたが思っていることと、皆のサポートを必要としていることを知らせましょう。

そうすれば、皆が心の乱れを鎮めるのを助けることができます。

多くの患者と家族は、お互いの気持ちを分かち合い、時間をかけてさようならを言うことで、元気を取り戻し、慰められるのです。

ためらわずに、看護師や、ソーシャル・ワーカー、宗教家、あるいはカウンセラーに頼んで、家族の人たちに集まってもらうようにし、しみじみと話し合いましょう。

孤立感

がんが進行するにつれて、あなたの生活は乱されます。

家族や友人や同僚たちとの社会的な活動も、以前のようにはできなくなります。

医師の診察を受けたり、治療に通ったり、休息をとらねばならなかったりで、日頃の日課も変わってきます。

こういう変化が起こると、家族や友人に取り囲まれていてさえも、寂しくなったり、独りぼっちになったような気がするものです。

こういう感情を和らげる一つの方法は、できるだけいつもと同じように暮らすことです。

今までいつもやっていたこと、例えば、趣味、読書、犬の散歩、子供達と遊ぶことなどを続けましょう。

家族や友人に、以前と同じような暮らしを続けたいと思っていることを知らせましょう。

家族や友人をできるだけ励まして、皆もいつもと変わらぬ暮らしを続けるようにしましょう。

人に会うことができそうな気がするときは、友人や親戚に訪ねてくるよう遠慮なく頼みましょう。

皆はちょつと立ち寄ってみようかと思っていても、何を言っていいか、またはどう振舞ったらいいのか分からないのが心配で訪ねて来ないのかもしれないのです。

ありとあらゆる努力にもかかわらず、独りぼっちになったように感じる日もあることでしょう。

人は、あなたのことを完全に理解するわけではないし、あなたと経験を十分に分かち合うこともできない、と感じられるからです。

ときには、一人になりたいとだけ思う日々もあるでしょうし、そうするのもよいことなのです。

一人暮らしの人や、近くに家族や友人が居ない人にとっては、病気は、ことにつらいものかもしれません。

そういう状況では、ボランティアやケアをする人に訪ねてもらうのがいいと思う人もいます。

また、ペットと一緒にいるのを喜ぶ人もいます。

同じように末期のがんを患う人と話すことで、あなたが求めている理解と友情が得られるかも知れません。

他のがん患者たちと話せるようなサポート・グループに入ることも、孤立感を和らげる一つの方法です。

ときには、自分で自分を励まさねばならないこともあるかもしれません。

そういう時は、自分を楽しませる工夫をしてみましょう。

ゆったりと散歩したり、美しい花束や面白い本を自分にプレゼントしたりするのです。

自分の内なる強さを誘い出し、自分自身の一番良き友となるようにしてみましょう。

痛みと不安感からの解放

その五

自分の痛みについては、あなたが一番良く知っています。

どこが痛むか、どんなにひどいものか、何が痛みを和らげるか、何が痛みを強めるか、など知っています。

医師や看護師は、あなたが痛みについて話すのに頼っているのです。

あなたも、医師や看護師と一緒に、どのやり方が一番あなたの痛みに効果があるのか、決めることができるでしょう。

ためらわずに、自分の痛みについて医師や看護師に話しましょう。

可能な方法の中で、一番良いペイン・コントロール(疼痛管理)を受ける権利が、あなたにはあるのです。

痛みから解放されるということは、日々の暮らしの中であなたにとって大切なことが、これからも続けてやれるということなのです。

痛みと不安感からの解放

その四

物理療法、バイオフィードバック(訳注:脳波計を頼りにアルファ波を調節して、安定した精神状態を得る方法)、リラクセイション・テクニック、自己催眠術や、イメージ療法も、痛みから解放に役立ちます。

他のタイプのペイン・コントロールには、皮膚刺激法、指圧、バイブレーション、マッサージ、冷または温湿布、皮膚へのメントール塗布、皮膚からの電気神経刺激(transcutaneous electric nerve stimulation)があります。

これらの中には、痛み止めによる眠気を避けながら痛みをとるために、体の特定の部分で抹消神経を麻痺させる方法が含まれています。

痛み止めが効かないか、ひどい副作用で使えないかの10〜15%の患者には、麻酔剤を使う特別の処置ができます。

痛みと不安感からの解放

その三

多くの人が痛み止めを使うのを躊躇しています。

中毒になるのを恐れるからです。

しかし、痛みを取るために薬を飲んで“中毒患者”になることはありません。

実際に、がんの痛みをコントロールするために、医師の監督のもとに麻薬(鎮痛剤としても知られている)を飲んでも中毒にはならないことが、研究の結果として分かっています。

さらに、痛みを減らすために薬を飲むよりも、痛みを予防するために飲んだ方が、使用量が少なくてすむ傾向があることも分かってきました。

そして、痛みの原因が治ったら、痛み止めを止めることもできるのです。

痛みや不安感からの解放

その三

多くの人が痛み止めを使うのを躊躇しています。

中毒になるのを恐れるからです。

しかし、痛みを取るために薬を飲んで“中毒患者”になることはありません。

実際に、がんの痛みをコントロールするために、医師の監督のもとに麻薬(鎮痛剤としても知られている)を飲んでも中毒にはならないことが、研究の結果として分かっています。

さらに、痛みを減らすために薬を飲むよりも、痛みを予防するために飲んだ方が、使用量が少なくてすむ傾向があることも分かってきました。

そして、痛みの原因が治ったら、痛み止めを止めることもできるのです。

痛みや不安感からの解放

その二

がん患者の感じる痛みには、さまざまの原因があります。

がんそのものからくる痛みもあれば、がんの治療方法からくるものもあります。

例えば、手術の後、人は手術そのものの結果として痛みを感じます。

時には、がんと関係のない痛みもあります。

捻挫や、歯痛や、頭痛といったものです。

原因が何であっても、痛みからの解放は可能なのです。

痛みに対処する一番よい方法は、その原因を治療することです。

腫瘍を取り除いたり、そのサイズを縮小したりすることができれば、そのようにして痛みの原因を治療します。

そのためには、医師は手術や放射線療法、あるいは化学療法を勧めるでしょう。

しかしながら、あなたの主治医は、痛みをコントロールする疼痛緩和療法を勧めることが多いと思います。

それは、痛み止めの薬の使用、神経の手術、神経ブロック、物理療法などと、リラクセイション・テクニックや気分転換療法やイメージ療法などを含みます。

痛みや不安感からの解放

その一

多くのがん患者は、肉体的な痛みを恐れます。

けれども、患者の皆が皆、痛みを感じるわけではありません。

それに痛みがある患者も、一日中痛みが去らないわけではありません。

あなたに痛みがあったとしても、痛みは治療することができます。

医師やナースにペイン・コントロールについて尋ねてください。

痛みがひどくなるまで待たないでください。

痛みは、ほとんどの場合、軽減することができるのです。

分からないことを調べる

わたしたちが怖いと思うのは、死ぬこと自体ではなく、それに先立つ何日か、何週間か、何ヶ月かである、と言う人もいます。

多くの人が、その時期には痛みがあるのではないかと心配し、人に負担をかけるのではないかと案じています。

深刻な病状にある人は、分からないことが起こること、孤立してしまうこと、ほったらかされること、体と気分のコントロールを失うことを恐れます。

また、後に残る人達の将来を心配します。

あなた自身の状態を知ることは、あなたや家族がそのような恐れを解決する助けになります。

自分の状態と治療について詳しく知れば知るほど、未知に対する恐怖は小さくなります。

少しでも知りたいことがあったら、ためらわずに、医師やナースやケアをしてくれる人に尋ねましょう。

答えをもらうのは、あなたの権利であることを忘れないでください。

たとえ質問が、これからあなたに起こることについての単刀直入なものであってもです。

ときには、ケアする人たちが、口ごもっているように見えることもあるでしょう。

何が起きるか、正確に説明することができないのかもしれません。

あるいは、あなたが答えを受け取るための心の準備を整えるのを待っているのかもしれません。

あなたの人生や、病気や、死にゆくことについての具体的な質問をすることで、もう準備が整っていることを、相手に知らせることができます。

ケアする人に尋ねるときは、親戚や友人あるいはその他の人でも、あなたを支えてくれるような人一人以上に来てもらいましょう。

その人たちがケアをする人に直接話すことで、ケアする人は、あなたにどういう風に手助けをしたらよいかがはっきり分かるようになり、あなたについて行き過ぎた心配をしなくてすむようになるでしょう。

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。